【ドローン機体重量】航空法の規制にひっかかる機体重量は?機体重量の計算方法は??
2021/7/12
2022/05/28
ドローンを飛ばすのに航空法の申請をしないといけません。
申請をしないといけないのは知っているけど、ドローンの重さが関わってくるのを知っていますか?
この重量規制を知らずに一定以上の重量がある機体を飛ばしてしまうと法律違反となります。
この記事を読むことで以下のことが分かります。
- ドローン機体の重さは航空法の申請に関係があるのか
- 申請にかかわる機体の重量をどうやって計算するのか
結論は200g以上の機体については航空法の許可承認をとらなくてはいけません。(200g以上ですので、199g以下は不要です。)
※2022年の法改正をもって、無人航空機(ドローン)の規制重量が100g以上からとなります。
機体重量が100g以上になると、原則、屋外(※飛行禁止空域に該当する)での飛行が制限されます。
Contents
ドローンの重量200gについて
許可・承認申請が必要なのは100g以上の機体
航空法の規制対象となる無人航空機の重量は100g以上です。(※令和4年6月20日より規制対象の重量が200gから100gへ変更となりました)
この法律において「無人航空機」とは、航空の用に供することができる飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船その他政令で定める機器であつて構造上人が乗ることができないもののうち、遠隔操作又は自動操縦(プログラムにより自動的に操縦を行うことをいう。)により飛行させることができるもの(その重量その他の事由を勘案してその飛行により航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人及び物件の安全が損なわれるおそれがないものとして国土交通省令で定めるものを除く。)をいう。
航空法第2条22項
法第二条第二十二項の国土交通省令で定める機器は、重量が二百グラム未満のものとする。
航空法施行規則第5条2項
100g未満の機体は模型航空機というあつかいになるので、その規制からは外れます。
許可承認申請の規制に関わってくる重量はどれか。
ドローンの申請に関わってくる重量は、「空虚重量」+「バッテリー・燃料の重量」です。
空虚重量とは機体にとって欠かせない構成部品です。ようは以下のようなもの。
- フレーム
- ブレード
- アーム
- モーター
(※詳しくは、この記事の後半で説明しています。)
これらを足した重量が100g以上となる場合は許可承認申請の規制対象になります。
逆に、追加で装備されたカメラや、輸送する荷物(ペイロード)は申請するときの重量には含まれません。
「無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領」では次のように書かれていますので参考にしてください。
無人航空機の重量については、機体本体の重量及び飛行のために必要なバッテリーの重量の合計(バッテリー以外の取外し可能な付属品の重量は含まない。)並びに最大離陸重量を記載すること。ただし、研究開発を目的とする飛 行であって航空局ホームページに掲載する「国土交通省航空局標準マニュア ル(研究開発)」に従う場合は、最大離陸重量のみを記載することとし、最大 離陸重量として「25kg 未満」又は「25kg 以上」を記載すれば良いものとする。
引用元:無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領 2-2-1
なので、付属品としてカメラや測量用のレーザーなんかを取り付けても規制対象重量からは外れます。
また、仮にドローンを使って荷物を運ぶなんて言うときも、その荷物は規制対象外ということになります。
ドローン飛行申請に使う重量情報
この審査要領には申請にいる重量情報についても書かれています。
基本的には最大離陸重量を申請書に記入することになります。
仮に最大離陸重量が分からないといったとき(※いろいろカスタマイズされているようなときですね。)は、実際に自分で量った重さを記入するしかありません。
100gの規制について勘違いしてはいけないこと
このドローンの重量規制100gですが、申請書へ記載する内容と“ゴチャゴチャに理解してしまっている方”をお見受けします。
あくまで、“この100gというのは飛行の許可と承認がないと飛ばせない機体なのか”
という判断を切り分けるための基準です。
なので“空虚重量“とバッテリー重量を足して99g以下(※100g未満)だったら飛行申請が要らないと理解できますね。
法改正によって規制対象範囲が厳しくなるのか
2020年12月に国土交通省から発表された資料を確認してみましょう。
資料の主旨は「これは無人航空機のレベル4の実現のための新たな制度の方向性について」というものです。
これは「ライセンス制度を導入して、レベル4飛行を可能にしよう」という内容です。
ちなみにレベル4の飛行とは「有人地帯+補助者なし+目視外飛行」のことです。
※レベル4飛行についての資料について。リンク(国土交通省)はこちらから
ただ、この資料の端のほうに「※施行にあわせて登録・許可承認の対象となる無人航空機を100g(200g)以上に拡大」とかかれています、
これは次の法改正においては機体の重量規制がより厳しくなると覚悟しておかなくてはならないかと思われます。
これまで200g未満の機体として人気のある「Mavic MINIシリーズ」なども申請が必要になってしまいました。
重量の構成はどうなっているのか。
では重量の構成について見ていきましょう
重量は3つに区分される。
構成する部位によって重量の区分が違います。
まず確認すべき用語として「最大離陸重量」「空虚重量」「積載重量」があります。
最大離陸重量とは
ドローン全体の総重量を意味しています。機体が地面から離陸するときに加わっている重量です。離陸するときに機体にかかる全部品の重量を足したものとなります。
空虚重量とは
航空機で用いられる用語の一つとして空虚重量があります。
機体を構成している部品のうち「基本構造部」や「固定装備として必要なもの」がこの重量に含まれます。
また、配管内にある液体燃料や駆動部の潤滑油など機体の動作に使用される液体も空虚重量のひとつです。(※配管内にあるということに注意)
積載重量とは
機体に乗せる荷物の重量です。
カメラや測量に使うレーザーなどの追加装備、バッテリーや燃料、機体に常時装備されているもの以外の荷物などの重さが積載重量に含まれます。
ちなみにカメラなどの取り外し可能な部位を追加装備と呼びます。
そして、常時装備されているものでない荷物の重量は「ペイロード」と呼ばれています。
基本構造をもっと具体的に書き出してみると
「機体構造部」「動力装置」「計器類等」が機体の基本構造部になります。
機体構造について
ブレードやアーム、フレーム、スキッドなど外観を構成している部分です。
流体力学における揚力を発生させたり、物理的に離着陸を行うのに必要なものです。
動力装置について
機体に揚力を発生させるには動力がいります。いわゆるエンジンと呼ばれるところです。
ドローンの場合はブレードが回転することによって機体が浮上していまするのですが、それを行っているのはモーターです。なので、そのモーター部が動力装置ということになります。
計器類等について
いわゆるセンサー系の電気・電子部品です。
センサーは飛行時の姿勢安定を制御しているものと考えればよいです。
(灯火やヘディングを目で確認できるようなLEDも電子基板には取り付けられていますが、これらはセンサー類と役割が違います。)
ドローンはその飛行を安定させるためにセンサー類が搭載されています。
センサー類にはどんなものがあるのか
ここで、ドローンの飛行に使用されるセンサーはどんなものがあるのかを見ていきましょう。
加速度センサー
機体の飛ぶスピードや傾きを測定しています。
そもそも加速度とは1秒間にどれだけ速度が変わるのかを表した数値です。
また、この加速度を3軸方向(X・Y・Z)から確認することによって機体の傾きを見ることができるようになります。
3軸方向と書かれると難しいですが、別の見方ををすると重力、振動や衝撃をみていると理解しておけば大丈夫です。
物が動くスピードだけではなく、カメラの手振れ補正などにも、これらの機能が応用利用されています。
ジャイロセンサー
ドローンは物体が回転運動します。この回転運動のスピードを加速度計で測定することができません。
なので、この回転運動の速度をみているのがジャイロセンサーとなります。
ちなみに回転する速度ですが、別の言い方にすると角速度と表されます。
身近な例をみていると、スマートフォンやタブレットなんかがあります。
これらのデバイスは傾けると、見やすい方向へ画面の向きが自動的に変わりますよね。
回転したときに物体に掛かる力を計測するのにジャイロセンサー機能が活用されています。
機体重量が100g未満でも規制対象になる空域もある
例え機体重量が100g未満だとしても規制対象となる空域があります。
それは航空法とは別の法律によって定められています。
詳しくは以下の記事をご確認下さい。
まとめ
ドローン飛行申請において機体重量を把握することは大切です。ですので、申請の対象となる機体重量をどのように判断するかは知っておかなくてはいけません。
以下にこの記事のポイントをまとめました。
- 取り外し可能なパーツのうち、飛行に必要なバッテリーだけが規制対象重量100gに含まれる。(※2022年6月から規制変更)
- カメラといった付属品は規制対象重量には含まれない。
- ドローンを用いて物を郵送するとき、その荷物は規制対象重量には含まない。
ドローン飛行申請でお困り事があれば相談してください。