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【「許可申請」と「承認申請」】ドローン飛行申請における違いとは何か。

2021/7/16

2021/07/24

この記事の監修

行政書士/無人航空機従事者試験有資格者近藤 久夫

大学では理工学部機械工学科を専攻。卒業後は、半導体・液晶関連産業機械のエンジニアとして業務に従事。10年におよぶ技術系職の経験を有する。
2017年に行政書士資格を取得。技術と法律の相反する2つの視点から"空の産業革命と呼ばれるドローン産業"を支援している。

ドローンの飛行には規制があり、どこでも自由に飛ばすことができるわけではありません。

航空法のなかで、一定ルールの範囲しか飛ばせないように制限がかかっています。

その制限された範囲外で飛行させるには、国土交通省から「許可」もしくは「承認」を取らなくてはいけません。

いきなり「許可」「承認」という言葉が出てきました。

はたして「許可申請」と「承認申請」の間では何の違いがあるのでしょうか。

Contents

 許可と承認の違いについて

条文を確認

許可について

まずは「許可」に関する条文から見てみましょう。

何人も、次に掲げる空域においては、無人航空機を飛行させてはならない。

 無人航空機の飛行により航空機の航行の安全に影響を及ぼすおそれがあるものとして国土交通省令で定める空域

 前号に掲げる空域以外の空域であつて、国土交通省令で定める人又は家屋の密集している地域の上空

  1. 前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。

 航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人及び物件の安全を損なうおそれがないものとして国土交通省令で定める飛行を行う場合

 前号に掲げるもののほか、国土交通大臣がその飛行により航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人及び物件の安全が損なわれるおそれがないと認めて許可した場合

航空法132条の一

条文では長々と書かれていて分かりづらいですが、

条文で書かれていることをまとめると次の飛行エリアの規制について書かれています。 

  • 地表又は水面から百五十メートル以上の高さの空域
  • 人または家屋の密集している地域の上空
  • 空港周辺空域

要は「これらのエリアは原則飛行禁止ですよ、ただし安全が損なわれないと認められれば飛行を許可します」と書かれています。

承認について

次に「承認」についての条文です。

1.無人航空機を飛行させる者は、次に掲げる方法によりこれを飛行させなければならない。

 アルコール又は薬物の影響により当該無人航空機の正常な飛行ができないおそれがある間において飛行させないこと。

 国土交通省令で定めるところにより、当該無人航空機が飛行に支障がないことその他飛行に必要な準備が整つていることを確認した後において飛行させること。

 航空機又は他の無人航空機との衝突を予防するため、無人航空機をその周囲の状況に応じ地上に降下させることその他の国土交通省令で定める方法により飛行させること。

 飛行上の必要がないのに高調音を発し、又は急降下し、その他他人に迷惑を及ぼすような方法で飛行させないこと。

 日出から日没までの間において飛行させること。

 当該無人航空機及びその周囲の状況を目視により常時監視して飛行させること。

 当該無人航空機と地上又は水上の人又は物件との間に国土交通省令で定める距離を保つて飛行させること。

 祭礼、縁日、展示会その他の多数の者の集合する催しが行われている場所の上空以外の空域において飛行させること。

 当該無人航空機により爆発性又は易燃性を有する物件その他人に危害を与え、又は他の物件を損傷するおそれがある物件で国土交通省令で定めるものを輸送しないこと。

 地上又は水上の人又は物件に危害を与え、又は損傷を及ぼすおそれがないものとして国土交通省令で定める場合を除き、当該無人航空機から物件を投下しないこと。

 前項の規定にかかわらず、無人航空機を飛行させる者は、次に掲げる場合には、同項第五号から第十号までに掲げる方法のいずれかによらずに飛行させることができる。

 前項第五号から第十号までに掲げる方法のいずれかによらずに無人航空機を飛行させることが航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人及び物件の安全を損なうおそれがないものとして国土交通省令で定める場合

 前号に掲げるもののほか、国土交通省令で定めるところにより、あらかじめ、前項第五号から第十号までに掲げる方法のいずれかによらずに無人航空機を飛行させることが航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人及び物件の安全を損なうおそれがないことについて国土交通大臣の承認を受けて、その承認を受けたところに従い、これを飛行させる場合

航空法132条の二

条文の出だしに「飛行の方法」と書かれています。

条文全体を読んでいくと、「どういった飛行の方法」が禁止されているのかについてが説明されています。

アルコールの飲酒、整備された機体を使用する、迷惑行為をしないなどは当然守られなければならないルールです。

こういった一般常識として考えられる内容を省いて、禁止されていることをまとめたものが次の6つです。

  • 夜間飛行
  • 目視外飛行
  • 人または物件の距離が30メートル以内での飛行
  • 多くの人が集まる催し物の上空での飛行
  • 危険物の輸送
  • 物件を投下

「これらに当てはまる方法は禁止されているけど、地上(※水上を含む)にいる人や建物などに危険がなくて、無人航空機が安全に飛行できるなら承認する」という内容になっています。

「許可」と「承認」言葉の定義に違いはあるのか

「許可」と「承認」の違いについて見ていきましょう。

「許可」

小難しい話になってしまうのですが、法律の勉強をしていると行政法令の中に「許可」という言葉がでてきます。

そして、そこで許可は「一般的に禁止されている行為を、特定の条件をみたすと解除しても良いですよ。」という意味になっています。

 

車の運転を例にみてみましょう。車の運転はだれにでも許されているわけではないですよね。

車の運転免許証を持っていないといけません。

ちゃんと自動車学校に通って免許試験場で合格しないといけないわけです。

あと試験を受けることが年齢も18才以上でなければなりません。

そういった意味で言うと、車の運転は一般的にはみたら禁止されているわけです。

ただ、「18才以上で免許証を取った人は車の運転を許しますよ」というふうに法律で決められています。

「承認」

「承」と「認」という漢字一つ一つから考えると「認めて受け入れるという」意味が浮かび上がってきます。 

なので、その浮かび上がった意味から「承認する」を考えてみると「申請された行為を受け入れて認めますよ」と肯定的な意思表示をしていると理解できます。

ここで前述した「許可」と比較して考えてみましょう。

大きな違いが一つだけあります。

それは、[「許可」のときは定められていた明確な基準が「承認」にはないのではないのか]という点です。

 

また「車の運転」を例にして考えてみます。

自動車を運転する許可をとるには、「運転免許証が必要」です。

でも、仮に運転免許証があれば他の人の車を自由勝手に運転できるわけではありません。

人のものを借りるときは、ちゃんと“持ち主に運転してもOK”と受け入れてもらわなくてはなりません。

この“持ち主にOK”をもらうというのは“持ち主の判断”次第になってきます。

「車をぶつけたりしないかという運転スキルという安全上の判断」

「レンタルの分だけ費用を請求するという金銭的な判断」etcetc…

他にも人それぞれの置かれた状況で、どういった条件で承認するかは判断が分かれるところでしょう。

そういった意味では、「基準」よりも「裁量」と言った部分で判断されるとも考えられますね。

 まとめ

 「許可」と「承認」の違いについて書いてきました。(※あくまで考察です)

その内容から考察すると「許可」については「一定の条件」をみたすことでとれる。

一方の「承認」は「相手が受け入れると判断すれば認める」というふうに考えることができます。

言葉の定義からみると「許可」よりも「承認」のほうが、裁量がある分だけ「ふんわり」としている印象を受けます。

ただ、ドローンの飛行申請においては言葉の定義を気にしなしなくても良いです。

シンプルに次のように覚えておけば大丈夫です。

  • 許可:禁止された飛行空域で飛ばすとき
  • 承認:禁止された飛行方法で飛ばすとき

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