農業分野に普及しているドローン活用事例について。申請のポイントと合わせて紹介します!!

2021/6/23

2021/07/29

この記事の監修

行政書士/無人航空機従事者試験有資格者近藤 久夫

大学では理工学部機械工学科を専攻。卒業後は、半導体・液晶関連産業機械のエンジニアとして業務に従事。10年におよぶ技術系職の経験を有する。
2017年に行政書士資格を取得。技術と法律の相反する2つの視点から"空の産業革命と呼ばれるドローン産業"を支援している。

様々な産業にて活用されるようになってきたドローン。

 とりわけ農業における利用も推し進められています。

ドローンを使うことのメリットは”コストカット”と”労働力の確保”です。

本文の中でも出てきますが、ドローンが登場する前までは、空中から農薬散布をするときにヘリコプターが利用されていました。

このときにかかるコストとして、おおよそ1000万円と言われています。(※初期投資とお考え下さい。細かい計算は省かせてもらいます。)

それがドローンの導入によって200万~300万円まで費用を下げることができます。

また、費用が削減できることによって機械導入しやすくなります。

そして、機械導入によって少ない労働力で作業できる、また、時間短縮できるという好循環が生まれます。

このように、事業の利益率をUPさせるという効果をもたらします。

 ただ当然の話ですが、より多くの利益を出していくためには、政府が定めた規制や産業がこれからどうなっていくのかを知ることが大切です。

 農業分野におけるドローン産業や規制の動向、飛行許可承認申請をとるとき大切になる知識について解説していきます。

Contents

 農業分野におけるドローン活用事例について

農業用ドローン普及にむけての動き

 農林水産省の資料を見る限りですと、国策として農業用ドローン普及に向けて動いていることが分かります。

 平成28年度には農業用ドローンの登録機体数やオペレーターはほとんどいませんでした。

 それが3年後の平成30年には登録機体がおよそ1,300台、オペレーターにいたってはおよそ5,000人近くまで増えています。

 機体性能の向上、深刻な労働力不足、将来の事業拡張性など、もたらされるメリットは大きいとされています。

それがあって行政もドローン普及に向けて動いています。

出典:農林水産省 農業用ドローンの普及に向けて

ドローンの活用によってもたらされるコスト削減効果

 農薬散布を例にして考えてみます。

これまで農薬散布は、人の手によって重いタンクを抱えながら行われていました。

小さい面積の農地を管理するだけなら手作業でも問題は少ないでしょうが、中には広大な面積を管理されている農家さんもいらっしゃいます。

そういった方々に掛かる多くの作業時間、はたまた、複数人以上で行うのであれば人件費がかさんでしまいます。

そのような課題を解消するために農業分野でも機械化による効率性向上が図られていました。

ただ以前は、人の手による作業を機械化しようとするとヘリコプターを導入するしかありませんでした。

ただ、このヘリコプター導入にかかるコストを考えると機体購入のみで1,000万円かかってしまいます。

これは経済的な負担がとても大きいです。

その一方で農業用ドローンならば100万円から300万円ほどで収まることになります。

農薬散布だけではないドローンの農業利活用

ドローンの農業への利活用として7つの項目があります。

 次の表は農林水産省の資料(農業用ドローン普及に向けて)を一部抜粋したものです。

  

利用分野

ドローンに搭載した散布装置から散布

 

農薬散布

肥料散布

藩種

受粉

ドローンに荷物を積載し運搬

農産物運搬

ドローンに搭載したカメラやセンサから得られたデータを活用

ほ場センシング

鳥獣被害対策

出典:農林水産省 農業用ドローンの普及に向けて

農薬や肥料散布

これまでは無人ヘリコプターによって行われてきました。

機械を用いることで労働負担の軽減が狙いでした。

それをドローンが代替する方向で進められています。

ドローンへの代替によって省力化や低コスト化という効果が求められています。

また肥料の散布においてはムラなく効率的に行えるようになります。

“ムラなく効率的“とはデータに基づいて合理的に肥料を撒いていくことを意味しています。

過不足なく、必要な場所に必要な分量を散布することを、人の力で行うのは労力負担が大きくなります。

藩種(はしゅ)

平たく言うところの“種まき”です。

これにおいても作業の効率性アップとコスト削減が目的とされています。

作業を行うのが難しい中山間地域での活用も期待されています。

受粉

人の手による受粉です。

手作業で行うことで受粉の確度が高くなるとされています。

一つ一つの作業を人の手でおこなっていくのは、相当な労力が求められます。

それをドローンによって省力化しようというのが目論みです。

花粉を混ぜた溶液を空中から散布するという方法での実証実験が進んでいます。

農産物運搬

収穫物の運搬を行うには、各工程への人員配置など人的労働力がかかります。

また作業者にかかる体力負担も大きいのがあります。

ただ、ドローンのバッテリーがどれくらい持つかというのが懸念されます。

これまでよりも長時間飛行ができるようになることも大切です。

ほ場センシング

ほ場とは耕作する農地のことです。

上空からのカメラ撮影により、生育や害虫発生の状況を画像解析する技術開発が進められています。

収穫前の状況分析により、農作物の品質や収穫量向上が期待されています。

鳥獣被害対策

鳥獣の被害から守るためにドローン空撮技術の利用が期待されています。

鳥獣の生息実態を把握することによって農作物にもたらす悪影響を減らすことが目的です。

まずは航空法で定められた安全ルールを守る

ドローンを使って行う農薬散布は航空法で定められている”禁止されている飛行方法“になります。

「農薬を空中からまき散らす」という行為は“飛行中の物件投下”となります。

まずは許可・承認の申請を行う

許可・承認の申請は国土交通省にたいして行います。

少なくとも農薬を散布する日よりも10開庁日以上前に申請を行わなくてはいけません。

10開庁日という記入だと分かりづらいですが週末土日や祝日が含まれません。

ですので、少なく見積もっても許可・承認をとるまで2週間はかかることになります。

ただ、2週間というのはあくまでスムーズに審査が終わったらという話です。

追加の書類提出や書類補正があることを加味して考えておいたほうが良いです。

余裕をもって考えるのであれば、1か月前から申請を行っておくのが良いでしょう。

でないと予定日に間に合わないということもありえます。

申請のときに気を付けるべきポイント

まずはドローンで禁止されている飛行方法について確認してみましょう。

次にあげる項目は航空法で禁止されている飛行方法です。

これらの方法で飛行するときは国土交通省から承認をとらなくてはいけません。

  • 夜間飛行
  • 目視外飛行
  • 人または物件の距離が30メートル以内での飛行
  • 多くの人が集まる催し物の上空での飛行
  • 危険物の輸送
  • 物件を投下

空中から農薬散布するので、禁止された飛行方法のうち“物件投下“を行う申請をするということになります。

次に、意外と見落としやすいものとして、農薬を載せて飛行するということが“危険物の輸送”になります。

※許可承認申請の基礎知識はこちらから

【ドローン許可承認申請の基礎知識】許可承認申請の基本をドローン申請専門行政書士が解説

許可承認の審査で大切になるポイント

次にあげるのは、許可承認の審査をとるのに欠かすことができないポイントです。

  •  ドローン機体の機能・性能
  • 操縦者の飛行経歴、知識、技能
  • 空中散布に関わる安全確保体制

これらに関連する書類ですが、原則提出義務があります。 

ただし、状況によっては書類の一部を省略できることもあります

補助者なしで空中散布を行うには

夜間飛行や目視外飛行の場合は補助者を設定しなくてはいけまん。

しかし、“立入管理区画の設定”を行えば、補助者がいなくても農薬の空中散布を行うことができます。

立入禁止区区画を設定したとしても、飛行エリアへの関係ない第三者が進入する恐れがあります。

なので農地の立地状況によっては、飛行エリアの外側に立入禁止エリアを設定しておかなくてはいけません。


引用:航空局標準マニュアル(空中散布)

飛行エリアが隣接している道の用途が農作業だけであれば第三者への対応は不要となります。

 ただ、近隣の農地所有者への事前通知は行っておかなくてはいけません。

引用:航空局標準マニュアル(空中散布)

 そして、農業目的以外の第三者が通り抜けで使う農道などは第三者への対応が必要です。

また、飛行予定地のすぐそばに公道が通っているようなときも同様です。

どのように第三者への対応をするのかは、農薬散布実施者の裁量となっています。

ロープやカラーコーンを使って区画の進入を防ぐのか、看板を立ててほか人に進入禁止注意を促すのか、方法は様々です。 

 まとめ

ドローンを農薬散布に活用することで大幅なコストダウンというメリットを得られますが、ドローンを飛行させるためには事前に申請が必要であることを把握しておかなければなりません。

ドローンを活用し農薬散布するために必要な申請は「危険物輸送」と「物件投下」の2件です。
農家の方からすれば、農薬は日常的に取り扱うものであり危険物という認識は低いと思います。しかし、一般的にみると農薬は劇薬=危険物です。その危険物を散布(散布といっても投下することに違いありません)するため、危険物輸送と物件投下の申請は必ず行いましょう。

なお、物件投下の場合は、これまでにその飛行経験が5回以上なければ投下ができないことになっています。ドローンを使って農薬散布を検討している方は、まずはドローンの飛行操縦訓練を受けることが必須です。これに関しては現在、農林水産航空協会で「農薬を散布する小型無人飛行機(ドローン)操作の認定制度」という認定資格を取得できます。
※講習期間は35日、取得費用は約1518万円

そのほか、ドローンを使用するうえでの最低限のマナーやルールも覚えておきましょう。

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