ドローン空撮によるプライバシー侵害の問題について注意すべきことは??

2021/9/13

2021/09/13

この記事の監修

行政書士/無人航空機従事者試験有資格者近藤 久夫

大学では理工学部機械工学科を専攻。卒業後は、半導体・液晶関連産業機械のエンジニアとして業務に従事。10年におよぶ技術系職の経験を有する。
2017年に行政書士資格を取得。技術と法律の相反する2つの視点から"空の産業革命と呼ばれるドローン産業"を支援している。

ドローンの実用化によって空からの映像や画像撮影がとても簡単に行えるようになりました。

 各種建造物、測量、災害状況などに対して、空中からの撮影という新しいアプローチが可能となっています。

 一昔前までは空撮というとヘリコプターやセスナ機が主流でした。

それがドローンの登場により、コスト面でもだいぶ安価に作業を行えるようになってきました。

また、その手軽さから、これまでよりも多くの人が「空からの撮影に挑戦してみようかな」と感じているのではないでしょうか。

ドローン空撮の社会的な認知もだんだんと高まってきており、これからも各産業での活用が推し進められていくことが期待されます。

 その一方で、戸建てやマンションといった住宅の部屋などが撮影されてしまうという問題もあります。

予期せず所有者の同意なしに部屋の中や生活風景を撮影してしまう恐れもあるでしょう。

ですので、ドローンで空撮をおこなうときも、同意なしに撮影される人のプライバシーへの配慮が必要であると言えます。

とりわけ、インターネット上でのデータ取扱いについて、総務省よりガイドラインが出ています。

この記事では空撮により起こりうるプライバシー侵害や、それに対する対策について解説していきます。

Contents

 ドローン空撮から考えるプライバシー侵害について

基本的な考え方

 ドローンによる撮影が侵害する権利として、「プライバシー権」ち「肖像権」があげられます。

 プライバシー権と肖像権

プライバシー権とは私生活上のことを他人に知られないように保つ権利です。

一方、肖像権は私生活上の普段の姿を、勝手に他の人に公表されないようにする権利です。

 いずれも精神的な苦痛から保護されるための権利であるといえます。

また個人情報保護の観点からも撮影被写体や目的が正当なものでなくてはなりません。

撮影による違法性の判断について

次にあげる3つをもとにプライバシー権や肖像権にたいする撮影の違法性は判断されるとされています。

  • 撮影の必要性(目的)
  • 撮影方法や手段の相当性
  • 撮影対象等をもとに総合的かつ個別的に判断される

これら3つだけを読むと違法性についてイメージしにくいと思います。

具体的に考えてみましょう。

 撮影の目的

まずは、故意に他人の私生活を覗き見る目的で撮影しないことです。

方法や手段の相当性

その撮影のやり方が間違っていないかということが求められます。

要は、他の人が見て普通に考えて「ふさわしくないと思われるような撮影方法」をしていないことが大切です。

それは道徳や論理的な部分からの判断となってくると考えられています。

対象物以外に、浴場・更衣室・便所など本来はプライベートとして守られるべき生活行為が映し出されてしまうことが分かっているにもかかわらず、撮影してはいけません。

一般的には相手に気づかれないように姿を隠して撮影することは相当性を欠くとされています。

なので、撮影をしようとする相手からの承諾を得るということで、撮影の相当性を補うことができるという考え方もあります。

撮影対象等をもとに総合的かつ個別的に判断

「最終的には違法性について総合的な判断をしましょう。」ということになります。

自然の風景を映すのか、はたまた、人がたくさん住んでいる居住エリアを映すのか、何を撮影するのかで権利侵害のリスク対策は違ってきます。

「大自然を撮影していたにもかかわらず、不意に誰かが服を着替えてしまっている(かなりレアなケースでしょうが。。。)」ということも起こりうるかもしれません。

なので、撮影した映像のチェックを公表前に念入りにするなどといったリスクマネージメントの要素が大切になってくると考えています。

プライバシーについて考えてみる

 そもそもプライバシーとは何か

プライバシーという言葉について一般にこれといった定義は存在していません。

具体的にこれがプライバシーと明言はされていないという意味です。

ただ、他人に見せたくない個人的な情報で保護されるべきものという理解がもっとも近しい意味とされています。

どこからがプライバシーの侵害となるのか

その個人の生活状況が分かってしまうような情報はプライバシーの侵害となりえます。

例えば、家の中の様子です。他には車のナンバーであるとか干してある洗濯物なども、生活の様子を推測することに使えるような情報を公開してはいけません。

ドローンの飛行許可をとっていたとしても他の人のプライバシーは守らなくてはならない。

 国土交通省から許可・承認をとることによって、人や物件から30メートル以内でもドローンを飛行させることができるようになっています。

また、公共の場としてドローン飛行が許されている場所もあります。

 たとえ、航空法や地方自治体の条例などといった法令によって飛行することが可能だとしても、まったく関係ない他人の姿やプライバシーが映り込んでしまうことが無いように配慮しなくてはいけません。

インターネット普及によるプライバシーへの弊害

当然の話ですが、ドローンは空中を飛ぶことができるわけで、建物の上空からの撮影を目的として頻繁に行われています。

必然的に、インターネット上などで、その撮影した画像を公開するということも多くなってきます。

そういった意味では、インターネット普及というのは、昔に比べるとプライバシー侵害の危険性はとても大きくなっていると考えておくべきです。

ネット上に公開された情報は不特定多数の人が閲覧できるようになります。

また、いったん流出してしまった情報を回収することは不可能に近いといっても良いでしょう。

ですので、撮影した映像を利用するときはプライバシー保護への配慮はとても大切になってきます。

他の人のプライバシーをどうやって保護すればよいか

住宅地にカメラを向けないなど撮影の向きや方向へ十分配慮する。

  • 撮影に映り込んだ住居内、人の顔や車両ナンバーなどにはボカシ処理を入れるようにする。

プライバシーを侵害してしまったときのリスクは何か?

法律上の観点からプライバシーを侵害してしまったときのリスクを見ていきましょう。

 民法と刑法の観点から罰を受ける可能性がある

まず、プライバシーの侵害においては民法上の罰を受ける可能性があります。

故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した 者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

引用:民法第709条

 次に刑事上の罰についてみてみますと、

 正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者。

これに該当する者は、これを拘留または科料に処する。

引用:軽犯罪法第1条 第23号

 個人情報保護法からの観点も理解が必要

 そもそも個人情報とは何なのでしょうか?

 もっとも身近なものとしては氏名です。また生年月日や住所・電話番号なども含まれます。

 「個人の身分を想定させるもの」も個人情報となります。

 分かりやすく言い換えると「〇〇株式会社の社長として働いている△△さん」がいたとします。

 この場合は「〇〇株式会社の社長」という肩書が△△さんの個人情報ということになります。

 表札や車両ナンバーなどは、空撮のさいに個人を識別する情報として映り込む可能性が高いものであると言えるでしょう。

プライバシーの侵害を起こさないために大切なことは何か?

 前提の条件としては、他の人のプライバシーを映さないように十分な配慮をすることです。

撮影カメラの向きや配置、空撮場所などより起こりうるプライバシー侵害のリスクは変わってきます。フライト前のシュミレーションによってそれらを洗い出してみるのも良いでしょう。

そして、どんなに事前の配慮をしたとしても、万が一、他の人のプライバシーが映り込んでしまうこともあり得ます。

撮影画像に個人情報が移っていないか念入りなチェックも大切です。また、映り込んだ個人情報へのボカシ処理を行うなどして個人が特定できるような情報は消去する義務があると言えます。

 まとめ

全てのことが法律で「こうしなさい」と決められているわけではありません。

ただ、決められていない範囲であれば自由にドローンを飛ばせるわけでないことも理解しておくことが大切です。

わざとではなくても、うっかり他の人の人権を侵害してしまうこともありえます。

安全・安心にドローンでの飛行や撮影を行うためにも、プライバシー侵害への理解を深めていきましょう。

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