ドローン飛行に使われているジオフェンス機能。機能の役割や申請時の活用法について解説。
2021/7/5
2021/08/01
突然ですが、ジオフェンスという言葉を聞いたことはありますか?
「言葉自体は聞いたことがあるけど詳しい意味はチョット。。。。」
「そもそもどういった機能かも分からない」
最初の文を読んでこんな言葉が思い浮かびませんでしたか。
ドローンを飛行させるときの安全対策に利用できるのがジオフェンス機能です。
本来はダメなケースでも、ジオフェンス機能を活かすことでドローン申請の許可承認を取ることができるパターンもあります。
そのダメなケースですが、例えば審査要領で求められている「10時間の飛行実績」がないというのが挙げられます。
なぜなら、安全上の対策を確保することによって申請OKの条件を充たすことができるからです。
ドローン初心者にとって、この「10時間の飛行実績」をどうやって得るかは大きな課題となってしまいます。
この記事を読むことで、ジオフェンス機能が何なのか、そしてドローン飛行申請にどう役立つのかを知ることができます。
Contents
ジオフェンス技術について
ジオフェンス機能の概要
ジオフェンスが実用化されはじめたのは2014年頃です。
もともとは地上に仮想の境界線を作るということが期限となっています。
そして、その技術の根本を担っているのが位置情報の把握です。
位置情報が分かることによって、特定の個人(※人だけでなく動物や物も含みます。)仮想境界の出入りを管理できるようになります。
どうやって位置情報を取っているのか
GPS,WiFi,BluetoothまたはRFIDといった技術を用いて場所を特定します。
ですので、位置情報を把握するにはスマートフォンなどといった端末が必要ということになります。
モバイルアプリで良く使われている
ジオフェンスですがモバイルアプリの中で最も使われている機能と言っても過言ではないでしょう。(※数値上の根拠はありません。あくまで感覚的部分で書いています。)
実用的な部分で考えてみましょう。
ここでは買い物など町に出かけたケースを例にします。
外に出かけてお店を検索すると、なぜか近隣の情報だけが表示されるという経験はありませんか?
また、いま自分のいる場所に近いお店からクーポン券が届いたりとかはありませんか。
これはモバイルアプリなどによって個人の位置情報が把握されているためです。
そして、クーポン券などを届けるエリアはジオフェンス機能によって、該当エリアの出入りを把握することで行われています。
補足:ジオフェンス機能が活用されている分野
だんだんとジオフェンス機能が使われている業界も増えてきています。
例えば代表的なものとして次の三つが挙げられます。
- 運輸業界の車両
- 畜産農業における家畜
- ドローンの飛行
車両管理
車両の位置情報をもとに、今どこにいるのかが分かるようになります。
また、いつ車両が出発したかや到着するのかということも分かります。
畜産農業
放牧されている家畜に発信機を取り付けることによって位置情報は分かるようになります。
ここでは、家畜が柵を飛び越えて放牧エリアの外に飛び出してしまったとき、アラームが鳴るなど、すぐに対応することを目的としています。
ドローン飛行
これがこの記事の本題ということになります。次から詳しく説明していきます。
ドローン飛行におけるジオフェンス機能の活用
ドローンには飛行禁止エリアがある
ドローンを飛行させるエリアは法律において規制がかかっています。
調べてみると飛行禁止の場所は多く、許可をとらないと飛ばすことができないというパターンにもよく遭遇します。
例えば、“空港周辺”、“小型無人機等飛行禁止法で定められた重要施設およびその周辺”だとかが該当します。
安全対策
ジオフェンス機能は安全対策として用いられる機能です。
あくまで仮想上のフェンス
“ジオフェンス“ですがフェンスという名前が付いていますので、“柵”としての機能を果たしています。
ただ、物理的な“フェンス”ではなく周囲の安全を確保するために仮想上設定されているものとなります。
GPSの信号受信が前提となっている
位置情報の把握においてはGPS信号の受信が前提です。
ですので、GPS機能を使っていないとき(※いわゆるATTIモード)においては飛行制限が効かなくなるのでご注意ください。
ドローンは規制によって飛ばせない場所が多いことに留意
ドローンにおいては、飛行できないエリアが多く存在します。
そこでジオフェンスを認識するプログラムが機体(端末)に組み込まれています。
飛行練習をするにはうってつけ
ジオフェンス機能ですが、飛行練習するにはとても有効です。
水平距離の制限を10~20メートル以内の狭い範囲に指定しておくことも可能です。
例えば操縦を誤ったり、突風が吹いて機体が流されたりと、フライト中は予期せぬ問題が起こりえます。
また狭い制限範囲であれば、“補助者の配置“、”補助者とパイロットの情報伝達“などもやりやすくなります。
安全対策の一つとして、この機能を使っていくのは良いでしょう。
飛行経験10時間の実績を積む際にも役立つ
飛行申請の際には10時間以上の飛行実績が求められています。
この10時間の飛行実績が無いと許可承認をとるのが難しくなってきます。
ただし、ジオフェンス機能を利用し飛行エリアを特定することで許可承認をもらえる可能性があります。
例えば、次のような安全対策を行うことです。
第三者の立ち入りを制限する(※これは物理的な対応です。)
- ジオフェンス機能を使って飛行制限を設定
- 10時間以上の操縦経験を持つ監督者を傍におく
- 監督者の助言指導のもと操縦を行う
- 危険と判断したときは監督者と操縦を交代する
これらの対策を組み入れて安全対策を作っていきます。
ただ対策の作り方は、個々がおかれている環境によって違ってきます。
ジオフェンス機能を使っての飛行制限
ジオフェンス機能を簡単に言うと“飛行範囲を制限”できるものです。
定められた範囲の外は飛行できないように設定できます。
ジオフェンス機能ですが、水平距離のみだけでなく高さも制限できます。
※ここでいう水平距離や高さですが“離陸ポイント”を基準としています。
監督者の配置
監督者は必ず必要です。ここでは審査要領で求められている「10時間の飛行実績」が無いケースにおける申請を想定しています。
当然ですが、飛行実績としてはかなり乏しいということになります。
なので、操縦者のすぐそばで監督者が見守っている状態で飛行訓練をしなくてはいけません。
その監督者ですが、一定能力以上のドローン飛行スキルが必要です。
そこでも「10時間以上の実績」が基準となっています。
そして、何かトラブルがあったときは、直ぐに操縦が交代できる状況にしておかなくてはいけません。
物理的に第三者の進入を防ぐとは?具体的例
例えば、申請者自身が所有する土地だけで飛行させるのであれば第三者の進入を防ぐのは簡単になります。
一方で、住民共有のエリアになってくると第三者が進入してきてしまう可能性は避けられません。
そのようなときは、補助者を配置し第三者の進入を防いでもらう方法もありますし、
カラーコーン、ロープによる柵を設置して進入を防ぐというやり方も手段となります。
時には作図も必要
どうしても言葉では伝えきれないようなときもあります。
そのようなときは飛行経路図を作って提出しましょう。
そして、作図の際は次の情報を盛り込んでおくのが良いでしょう。
図に表すことでより、飛行範囲や計画が明確になります。
- 飛行範囲
- ジオフェンス設定範囲
- 監督者、補助者、カラーコーン等の配置etc
100%ミスを防ぐことができる機能ではない
残念ながら100%ミスを防ぐ機能でありません。
もしも、制御不能(アンコントローラブル)になってしまったときはジオフェンス設定の範囲外へ期待が飛んで行ってしまうこともありえます。
具体的にどうやってジオフェンス機能を使うかは機体の仕様をよく確認
機体によって設定が違ってきますが、以下の図をイメージしてもらえると分かりやすいです。
シンプルに図の青で囲まれたエリアからドローンが出ていかないように設定してあげるということです。
まとめ
ジオフェンスという言葉を聞きなれない方もいらっしゃったのではないでしょうか。
この機能を使うことで、仮に10時間の飛行実績がなかったとしても申請を通す可能性を生み出すことに使えます。
実際にドローンを飛ばすことのみならず、申請においても知っておくべき知識の一つとなりますね。
とはいえ、監督者や補助者を手配することや、追加の安全対策を書面で伝えなくてはいけませんので、申請における難易度が上がってしまいます。
ただ、ジオフェンスという機能を知っているというだけで、申請方法の選択が増えるというのも事実です。
さらにドローン申請について知りたいという方は以下の記事も読んでください。