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【緊急用務空域】急にドローンが飛ばせなくなる?!緊急用務空域とは何か?その調べ方は?

2021/6/26

2021/08/22

この記事の監修

行政書士/無人航空機従事者試験有資格者近藤 久夫

大学では理工学部機械工学科を専攻。卒業後は、半導体・液晶関連産業機械のエンジニアとして業務に従事。10年におよぶ技術系職の経験を有する。
2017年に行政書士資格を取得。技術と法律の相反する2つの視点から"空の産業革命と呼ばれるドローン産業"を支援している。

ある時突然にドローンの飛行が禁止される!?このようなことが起こるというのはご存知でしょうか?

現在は2015年から施行された改正航空法により、ドローンを含む無人航空機に関して規制されています。(※この記事を執筆したのは2021年6月)ただ規制を行っている法令は航空法だけではありません。航空法に関わる関係法令を含めると毎年のように、何かしら規制の変更が行われています。

そして、この記事を書いている2021年も新しい飛行ルールが付け足されました。

それが、“緊急用務空域の確認”です。

 結論ですが、今のルールでは急な災害などによって本来予定していた空域が、いきなり飛行禁止になることがあります。それを緊急用務空域と呼びます。この記事を読むことで”緊急用務空域とは何か””どうやって調べれば良いか”について知ることができます。

Contents

緊急用務空域とは。内容とその調べ方について

まずは国土交通省の情報を確認国土交通省ホームページをみると、「ドローンを飛行させる前に“緊急用務空域”を必ず実施してください。」 と書いてあります。 “必ず“という文言に強い意志を感じられますね。

航空法で規制されている飛行禁止空域について

これまで、航空法で規制がされている飛行禁止空域は3つありました。

  • 地上(水面)から150m以上の高さの空域
  • 空港等の周辺の上空の空域
  • 人口集中地区の上空の空域

これらは飛行が禁止されている空域ですが、国土交通省の許可をとることができれば飛行できるようになります。一方で、今回あたらしく設定された緊急用用務空域は原則飛行禁止となっています。

※航空法で禁止されている飛行空域について詳しく知りたい方はコチラ

【ドローン許可承認申請の基礎】まず覚えるべきは5つのポイント!ドローン申請専門行政書士が解説

イラストで飛行禁止空域を確認 

次のイラストは国土交通省のホームページに掲載されている資料からの抜粋です。

引用:国土交通省ホームページ

緊急用務空域の義務付けはいつから? 

2021年6月1日から“緊急用務空域“の確認が義務付けられました。。

緊急用務空域の確認義務付けに至るまでの背景

栃木県足利市で令和3年2月の林野火災の消火活動中に、無人航空機の飛行が確認されました。それによって消火活動の一時中断措置をとらなくてはなりませんでした。

これを受けて、消防・救助・警察業務そのほかの緊急用務を行うときの“緊急用務空域“を指定するという対策が行われました。この対策は、緊急用務を行うさいに航空機飛行の安全を確保し、活動に支障が出ないようにすることが目的です。

緊急用務空域に指定される場所はどこか 

指定される場所ですが、単に事故や災害があった周辺のみにとどまることはないでしょう。「緊急用務を行うさいの安全を確保する」とされていますので、消防や警察などの車両が移動したり、機材などが搬入されるところも指定空域に含まれてくる可能性も考えられます。

※2020年6月の段階においては、この運用が始まったばかりであるがゆえか、前例がないということで、指定された“緊急用務空域”といっても、どこまで具体的に情報が出てくるかわかりません。

そもそも緊急用務空域とは

緊急用務空域は、災害などによって現場にて上空から緊急対応を要するときに設定されます。あくまで一時的に指定される飛行禁止の空域となります。

どうやって“緊急用務空域”を確認すればよいのか

緊急用務空域ですが、いつどのタイミングで指定されるか分かりません。ですので、ドローンのフライト前には操縦者(その関係者含む)自身にて行う必要があります。情報の確認は、国土交通省のホームページかTwitterから行うことができます。そして、フライトの前に、緊急用務空域の情報を自ら見に行く必要があります

国土交通省のホームページにブックマーク、または、“国土交通省航空機 無人航空機“というアカウントをTwitter上でフォローしておくのが良いですね。

ちなみにですが、実際の情報が掲載されたときの表示は次のようになるようです。

(※この記事を執筆したときは運用開始前です。あくまでサンプルであることにご留意ください。)

Twitter 掲載例)

#飛行前確認】 〇〇県〇〇市の林野火災に伴い、 #緊急用務空域 が指定されました。 当該空域で #ドローン を飛行させることはできません。また、現に当該空域を飛 行させている方は、速やかに飛行を中止してください。

詳細はこちらhttps://www.mlit.go.jp/koku/koku_tk10_000003.html (航空局ホームページ公示イメージ)

【公示期間】

(例1)分~別途通知するまで

(例2)分~分(終了時期は変更の可能性あり) 【対象空域】 範囲: (例1)北緯○○秒、東経秒を中心とした半径kmの上空 高度: 地表又は水面から○○m以下(高度を指定する場合)

引用:緊急用務空域の設定に関するQA(国土交通省 交通局)

飛行情報共有システム(FISS)では確認できない

飛行情報共有システム(FISS)で緊急用務空域を確認することはできません。2019年7月からドローンのフライト前には飛行情報共有システム(FISS)への登録が義務付けられています。 

※飛行情報共有システム(FISS)とは事前に登録された“いつ“,”どこで“,”だれがフライトを行うのかという情報を共有するシステムです。

この飛行情報共有システム(FISS)の登録を行うときに合わせて緊急用務空域も確認できると助かりますが、いまの段階においては、それら二つのシステムは連携していません。残念ながら、それらは個別に登録や確認対応を行わなくてはならないことになります。

※FISSの登録についてはこちらを参考にしてください。

申請の後に登録が必要なFISSとは何か。役割や使用方法を行政書士が解説。

200g未満の機体も規制対象

緊急用務空域は200g未満のドローンも規制の対象です。航空法においては、200g未満のドローンは無人航空機に分類されません。ただ、緊急用務空域に指定されている場所ではこれらもフライトができません。すべての機体が対象となる点に注意しましょう。

緊急用務空域に設定されたときは速やかに飛行を中断する。

たとえドローン飛行許可(包括許可、個別許可に関わらず)をとっていたとしても緊急用務空域でのフライトはできません。もしも、フライトの直前はもちろんのこと、たとえ操縦中であったとしても緊急用務空域の指定がなされた場合は飛行を中断しなくてはなりません。

また緊急用務者などから、飛行中止の指示があるかないかにかかわらず飛行をやめる必要があります。仮に飛行を継続したときは航空法違反の対象として扱われてしまいます。

緊急用務空域でドローンを飛ばしたら罰則はあるのか?

航空法第132条の3の規定で適用除外となっているケースを除いては、指定された緊急用務空域でのドローン飛行はできません。これに違反したときは、航空法第137条の5に基づいて50万円以下の罰金に処される可能性があります。

第百三十二条及び前条(第一項第一号から第四号までに係る部分を除く。)の規定は、都道府県警察その他の国土交通省令で定める者が航空機の事故その他の事故に際し捜索、救助その他の緊急性があるものとして国土交通省令で定める目的のために行う無人航空機の飛行については、適用しない。

引用:航空法132条の3

ちなみに航空法132条ですが、捜査・救助等のために設定された特例です。航空法にて禁止された空域や方法における飛行には許可が必要です。しかし、捜索や救助などといった人命にかかわる活動のときは、許可なしでもフライトできるという特例があります。

飛行マニュアルへの記載も検討が必要になるのか

飛行許可承認申請をする際には、飛行マニュアルを提出しなくてはいけません。これから緊急用務空域の運用が進んでいく中で、飛行マニュアルの作成方法へも影響が出てくるかもしれません。

例えば、「フライト中にその場所が“緊急用務空域”に指定されてしまったとき」などが想定されるでしょうか。そのような事態が起こったときの対処法について文章化することが必要になってくるかもしれませんね。また、飛行許可の審査基準についてもこれから変更があるのか十分に注意しておかないといけないと考えています。

まとめ

これからどうなるかについて、予測するのは難しいというのが本音です。運用をしながら改善を繰り返すという流れになってくるでしょう。今の時点では、フライト前の“緊急用務空域”の確認が義務付けられています(※2021年6月時点)。「知りませんでした」という言い訳は通用しません。

なので、次に挙げる二つの対応を忘れないようにしましょう。

いつも最新の情報を入手し安全に飛行させることが大切ですね。

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