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【2022年法改正】ドローン機体認証制度。概要、なぜ導入するのか、新制度の仕組みについて

2021/9/8

2022/04/30

この記事の監修

行政書士/無人航空機従事者試験有資格者近藤 久夫

大学では理工学部機械工学科を専攻。卒業後は、半導体・液晶関連産業機械のエンジニアとして業務に従事。10年におよぶ技術系職の経験を有する。
2017年に行政書士資格を取得。技術と法律の相反する2つの視点から"空の産業革命と呼ばれるドローン産業"を支援している。

2022年にはドローンに関する法令が大きく変更となります。そのひとつが機体認証制度です。そこで、次のような疑問をお持ちではないですか。

  • そもそも機体認証制度って何??
  • なぜ機体認証制度を導入するの?

結論から、機体認証制度を導入する目的は、これまで法律では禁止されていた飛行方法を実現させようとするものです。禁止されている飛行ですので、そのぶんだけ安全性を確保しなくてはいけません。なので、国の技術基準に有った機体を使いなさいという意味があります。

この記事を読むことで、機体認証制度の概要、今の法令(2021年9月時点)で禁止されている飛行方法、なぜ機体認証制度を導入するのかを知ることができます。 



Contents

ドローン機体認証制度について

機体認証制度はレベル4飛行を実現する条件の一つ

2022年に大きな法改正を行う目的はレベル4飛行を実現するためです。そして、その改正が将来的にレベル4飛行の社会実装を行うための第一歩となります。機体認証制度の導入は、レベル4飛行を実際に行ううえで欠かせない要件の一つです。

レベル4飛行とは「有人地帯+補助者なし+目視外」

レベル4飛行とは次の方法で飛行させることです。

有人地帯+補助者なし+目視外

レベル4飛行について詳しく知りたい方はこちらの記事へ

【ドローン法規制】レベル4飛行とは?なぜ法改正により実現化を目指すのか?

機体認証制度の概要

機体認証制度の概要を下にリスト化しました。これをひとつづつ読んでいくとややこしいと感じられるかもしれませんね。

ざっくり言うと、「メーカーが型式認証をする」、「ユーザーは機体認証を申請する」、「国(もしくは国が定めた民間機関)が機体認証申請に対してOKまたはNGを出す」ということが書いてあります。

  • ユーザーが国に機体認証申請
  • 国が機体認証の基準を設定
  • 型式認証の申請をするのはメーカー
  • メーカーは型式認証を受けていることを機体に表示
  • 型式表示があればカテゴリーⅡの認証を受けたものとみなす。
  • 型式表示があればカテゴリーⅢの機体認証を受けるときに検査の一部を省略
  • 国は機体認証の有効期限を定めることができる
  • 国は民間の登録検査機関を設定できる

機体認証を申請するのはユーザー、認証するのは国か登録検査機関

機体の認証を行うのはユーザーです。ユーザーが申請を行う意図は、機体情報とユーザーを紐づけしておくことにあると考えられます。

※ちなみに機体認証一種は国が、機体認証二種は国が指定した登録検査機関が行います。

機体が技術基準に適合しているか

レベル4飛行となると危険性の高い飛行です。その危険性が技術的に担保されているかが求められます。

機体認証を行うのに民間の力を活用

登録検査機関が機体認証を行います。この登録検査機関は民間の力を活用するとされています。ただし、どうしたら登録検査機関になれるのか(要件について)はまだ公表されていません。(※2021年9月時点。分かり次第記事を更新していきます。)

技術安全基準の方向性は2021年中に決まる予定です。そして新制度への移行は2022年12月が見込まれています。

飛行レベルのカテゴリーによって型式認証の制度が異なる

飛行レベルのカテゴリーによって型式認証の仕組みが変わります。飛行レベルのカテゴリーはⅠ~Ⅲまであります。

★リスクの大きさでカテゴリーⅠ、Ⅱ、Ⅲに分類

引用:国土交通省 中間とりまとめ骨子(案)説明資料

この記事のはじめにレベル4飛行という言葉が出てきたり、カテゴリーⅠ~Ⅲがでてきたりとややこしいですね。色々と覚えるのは大変なので、ここではレベル4とはカテゴリーⅢに分類される飛行だと理解しておけば十分です。

カテゴリーⅢにおいては型式認証制度+機体認証が必要

カテゴリーⅢの飛行を行うときは機体認証申請が必須です。

引用:国土交通省 レベル4飛行の実現に向けた新たな法制度整備等

カテゴリーⅡにおける型式認証制度まで

カテゴリーⅡの飛行にとどまる場合、ユーザーは機体認証を行う必要がなくなります。

引用:国土交通省 レベル4飛行の実現に向けた新たな法制度整備等

カテゴリーⅠは機体認証と許可承認申請が不要

機体認証は不要です。所有者と機体情報をFISSに登録しておくことで対応可能

FISSの登録についてはこちら

申請の後に登録が必要なFISSとは何か。役割や使用方法を行政書士が解説。

 機体認証制度が求める3つのポイント

 機体認証制度をとるために求められる要件は次の3つです。

  • 有効期間
  • 機体の安全性の維持管理
  • 型式認証

対象となるのは無人航空機に該当する全ての機体

無人航空機で、カテゴリーⅢに分類される飛行を行うときは機体認証が必須となります。

★どの機体が無人航空機の対象になるのか知りたいときは次の記事をお読みください。

(※下書き中:無人航空機と模型航空機。許可承認申請が必要なのは無人航空機です。) 

機体認証制度導入に伴い増えるユーザーとメーカーの義務

前に書いたものとは別で、機体認証制度のスタートによりユーザーとメーカーの義務は増えます。それが次の二つです。

  • ユーザー:機体整備の義務。(※機体整備不良の場合は改善命令を受ける)
  • メーカー:機体設計不具合の報告義務

機体整備の義務がユーザーに課せられる

引用:国土交通省 中間とりまとめ骨子(案)説明資料

設計不具合等の報告制度

引用:国土交通省 中間とりまとめ骨子(案)説明資料

 機体認証には一種と二種がある

機体認証は一種と二種に分かれます。レベル4飛行を行うときは機体認証一種を受けている必要があります。

引用:国土交通省 レベル4飛行の実現に向けた新たな法制度整備等

 レベル4飛行では機体認証一種が必須

 機体認証一種はレベル4飛行では必須になります。二種ではレベル4飛行を行うことはできません。

機体認証二種があれば現行のドローン飛行許可承認申請を省略することも可能に

次の条件がそろえば航空法におけるドローン飛行許可承認申請が不要となります。

  • レベル3飛行以下
  • 機体認証
  • 操縦ライセンス(二等以上)

ただ、これらの条件がないとドローンが飛ばせなくなるわけではありません。これまでのように許可承認をとることによるドローン飛行も、引き続き可能です。

逆に言うと、機体認証二種をとって、レベル3以下の飛行のみしか行わないのであれば、現行で求められている許可承認申請を省略できるということになります。

まとめ

2022年から新しい法制度へ移行します。まだ詳細が未公表の部分もありますが、大枠は決まっています。制度の目的や、仕組みを知ることで、これから発表される詳細についての理解もしやすくなるでしょう。まずは機体認証の基礎理解に、この記事をお役立てください。

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