【ドローンの自作・改造】許可承認申請に与える影響は?行政書士による解説。

2021/8/31

2021/09/27

この記事の監修

行政書士/無人航空機従事者試験有資格者近藤 久夫

大学では理工学部機械工学科を専攻。卒業後は、半導体・液晶関連産業機械のエンジニアとして業務に従事。10年におよぶ技術系職の経験を有する。
2017年に行政書士資格を取得。技術と法律の相反する2つの視点から"空の産業革命と呼ばれるドローン産業"を支援している。

ドローンの特徴として自作や、保有するドローンを手軽に改造できるという特徴があります。では自作や改造したドローンの飛行申請で次のようなお悩みはありませんか?

  • どんなことをしたら改造とみなされるのか
  • 改造品を申請するときに注意することは

この記事では、「どんな機体が改造品になるのか」「改造によって申請書類へ及ぼし影響」について書いています。筆者は行政書士としてドローン飛行申請の支援に携わっております。結論は非純正品を取り付けてしまった時点で改造品ですし、申請内容は機体の基準適合が問われることになります。

基準適合とは「許可承認の審査基準に合っているのかどうか」を意味しています。

Contents

 改造がドローン飛行申請に及ぼす影響

非純正のパーツを取り付けると改造とみなされる

もしかすると意識していないところで改造を行っている可能性があります。
以下の場合は改造扱いとなります。

  • 機体に非純正のレンズフードを取りつける
  • 機体に非純正のランディングギアと取りつける
  • 自動航行システムなどといったアプリケーションを利用する

例えばですが、カメラのNDフィルターを変えるだけでも“改造”とみなされます。

ようは非純正品”の部品を取り付けたり、ソフトウェアシステムを用いたりすると“改造品”となることにご注意ください。

改造すると「無人航空機の機能・性能に関する基準適合確認書」の記載内容が変わる

提出書類のひとつに「無人航空機の機能・性能に関する基準適合確認書」があります。これは「資料の一部を省略することができる無人航空機」(※いわゆるDIPSに掲載されている機種)の場合ですと、こちらの書類は「無記入」でも大丈夫です。しかし、例え「資料の一部を省略することができる無人航空機」であっても改造が行われていれば省略が不可となります。改造が行われている場合は、この書類に改造内容の概要を書かなくてはいけませんし、どのように改造を行っているのかをわかるように伝える必要があります。

自作も改造とみなされる

機体を自作した時点で改造品と同じとみなされます。

基準適合確認項目

基準適合の確認項目は次の通りです。

一般の確認項目
  • 鋭利な突起物のない構造であること(構造上、必要なものを除く。)
  • 無人航空機の位置及び向きが正確に視認できる灯火又は表示等を 有していること。
  • 無人航空機を飛行させる者が燃料又はバッテリーの状態を確認で きること。

※安全に飛行させられる状態にあるかが問われています。

物理的な欠陥がないかどうかです。

遠隔操作の機体
  • 特別な操作技術又は過度な注意力を要することなく、安定した離陸及び着陸ができること。
  • 特別な操作技術又は過度な注意力を要することなく、安定した飛行 (上昇、前後移動、水平方向の飛行、ホバリング(回転翼機)、下降 等)ができること。
  • 緊急時に機体が暴走しないよう、操縦装置の主電源の切断又は同等 な手段により、モーター又は発動機を停止できること。
  • 操縦装置は、操作の誤りのおそれができる限り少ないようにしたものであること。
  • 操縦装置により適切に無人航空機を制御できること。

※プロポを用いて正しく操縦できるかどうかです。通信制御に異常がないかを確認していきます。ただ、遠隔操作を行わないときは「該当せず」の項目へ選択すれば大丈夫です。

自動操縦の機体
  • 自動操縦システムにより、安定した離陸及び着陸ができること。
  • 自動操縦システムにより、安定した飛行(上昇、前後移動、水平方 向の飛行、ホバリング(回転翼機)、下降等)ができること。
  • あらかじめ設定された飛行プログラムにかかわらず、常時、不具合 発生時等において、無人航空機を飛行させる者が機体を安全に着陸させられるよう、強制的に操作介入ができる設計であること。

※自動操縦とはプロポ(送信機)で操縦を行うことをしません。

組み込まれたプログラミングにより自動操縦を行うことです。平たく言うのであれば、外観や操作性に問題がないことを確認することになります。また、フェールセーフ設計がちゃんと実行されているかも求められていることに留意してください。

※フェイルセーフとは、仮に機体異常や操作ミスがあったときに安全な方向へ動作が進むことを意味します。

改造によって申請内容に変更が生じた場合

もともとは改造していない機体で申請登録を行っていたものに改造を施したときはどうすれよいのでしょうか。「無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領」には次のように書かれています。

航空局ホー ムページに掲載する「国土交通省航空局標準マニュアル(研究開発)」に従うことで許可等を取得している場合であって、無人航空機の改造を行うこととなったときは、改 造後の機体が、4-1に示す「無人航空機の機能及び性能」の基準への適合性に変更 がない場合に限り、2-2-1(2)に示す無人航空機の設計図又は写真及び2-2 -1(5)に示す取扱説明書等の変更に係る申請を不要とする。

引用元:無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領

 許可・承認取得済みの機体を改造したときも、登録内容が変わってしまったということで原則は変更申請が必要となります。

ただし、一部例外はあります。

「国土交通省航空局標準マニュアル(研究開発)」に従うことで飛行許可・承認をとっている場合は、“ドローンの機能や性能の適合性”が変わらない限り申請が不要となります。

これは研究開発においては、機体の改造が頻繁に行われることを想定しているのではと考えられます。ちょっとした細かい改造のたびに申請をやり直していては、申請する方のみならず、審査する方も作業が大変になってしまいます。

ですので、目的が研究開発というケースにおいては、規制に対して柔軟性をもたせることで、行政上の処理負担を軽減させていると思われます。

ドローンの機能や性能の適合性ですが、「無人航空機の機能・性能に関する基準適合確認書」で記載を求められている項目を意味しています。

改造した機体を申請するときは添付する資料も増える。 

改造した機体を申請するときに増える書類は「無人航空機の機能・性能に関する基準適合確認書」での申告だけではありません。純正のドローンと比べれば申請は複雑になります。写真も機体やプロポのみならず、プロポ画面の表示内容も要ります。改造によって申請の難易度が上がるということにご留意ください。

間違って申請してしまったら

改造してあるドローンを、間違って“改造していない機体”として申請してしまったらどうなるのでしょうか。これについては、飛行の許可を取っていたとしても法令違反になってしまいます。

ですので、誤って申請してしまった場合は、“変更申請“もしくは”改めて再申請“を行うようにしましょう。「バレなければ大丈夫」という軽い気持ちで操縦することだけはないように気を付けましょう。法令違反に気づいたときは、何よりもフライトを取りやめるという選択が必要になってきます。

あくまで安全が第一

飛行申請が取れるからといって、どのような改造を行っても良いというわけではありません。飛行中に人や建物などへ危害を与えてしまうことがないように気を付けることが大切です。

まとめ

非純正品のパーツを使ってカスタマイズをしたときは、改造品になると理解しておきましょう。そして、申請書類へ書くことも増えますし、真実の内容を書面で伝えなくてはいけません。万が一、改造しているのに「改造なし」として申請書に表記してしまったら虚偽の申請です。偽りの申告はたとえ勘違いでも許されません。申請の内容は間違えないように十分注意しましょう

ドローン飛行申請でお困りでしたら、お気軽にお問い合わせください。

※許可承認の要件について詳しく知りたい方はこちらへ

【ドローン許可承認申請の基礎】まず覚えるべきは5つのポイント!ドローン申請専門行政書士が解説

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